THE えのき

えのきです。

サラリーマン、会社を作る

健康診断で尿酸値V字回復しました(2016 9.5, 2017 9, 2018 9.4) k_enokiです。ブログ書こう書こうと思って1年経ちましたが今年もAdventCalendarの記事だけは書きます。

この記事はCyberAgent Developers Advent Calendar 2018の18日目の記事です。
記事を書くのを忘れていたので、 12/19 12/20 12/21 12/25に書いています。ごめんなさい。

adventar.org

2018年2月9日(肉の日)に会社を設立しました。
その名も「合同会社えのき堂」(法人番号 4011003008505)
身近な人にはネタだと思われているえのき堂ですが実在しています。ネタなのは設立日です。

普段は「読書のお時間です」にてサーバーサイドと本の納品周りの業務を行っている私ですが、 dokusho-ojikan.jp 本記事ではCyberAgentに所属しながら会社を設立するまでの話を書いていこうと思います。

TL;DR

  • CyberAgentに所属しながら会社設立は可能
  • 会社を作るには用意する書類と手続きが多い
  • 売上がなくても法人の維持費用と作業が発生する
  • 解散にも金と作業が発生する
  • 金と手間かかるので気軽には勧めないけどいろいろ学べることはあるよ

書いてないこと

  • 細かい手続きに関して。
    • 本買ったり、ググれば出てくるので書いていません。
  • 決算について。
    • まだ一期目なので、決算後に別途記事を書きたいと思います。
  • 年金や社会保障について。
    • 特筆しませんが役員報酬をゼロに設定したため支払っていません。
    • 詳しい話は会ったときにでも聞いてください。

きっかけ

親が会社を経営してたので身近になにか事業をしている人が多く、サラリーマンとして働くうちに会社ってどうやって設立したり運営していくのか興味を持つようになってきました。

軽く検索したところ、合同会社であれば株式会社に比べて設立にかかる費用と手間を抑えることができ、株式会社と同様に法人として活動することが可能ということを知りました。
えのき堂設立にかかった費用は後述しますが、

特にやりたい事業があるわけでもなく、どちらかと言うと会社の運営や設立自体を知りたい気持ちが強かったので、経験(勉強) 70%、ネタ 30%くらいの気持ちで会社を設立することに決めました。

サラリーマンなので副業申請

CyberAgentは副業可能な会社です。 周りにも何人か副業をしている人が居ます。

その代わりに「会社に迷惑をかけないこと」という条件だけを残すことにしました。 悩んでいます 社員の副業を認めるべきか (藤田晋氏の経営者ブログ) :日本経済新聞

という条件に加えて、人事への申請が必要です。
このような条件になった経緯等は日経の記事に書いてあるのでぜひ読んでみてください。

どこまで書いていいのかよくわからないので、具体的な内容は割愛しますが申請から承認までのタイムラインを掲載します。

2018年1月 5日 金 16:21 社内システムから申請(担当部署へ直接メールでもいい)
2018年1月10日 水 11:50 受付完了の返事
2018年1月10日 水 12:26 人事内で申請内容の確認完了
2018年1月10日 水 12:49 所属子会社の社長へのメール送信
2018年1月10日 水 14:12 所属子会社の社長から了承の返事
2018年1月11日 木 15:51 人事から申請を承認したメールが来る

受付完了から承認までが1日で完了しているのでそんなに待った感じはしませんでした。
会社設立を許可されないことも考えていたんですがこんな申請でもサクッと承認してもらえたので、申請というか報告しただけという感覚です。
(ちなみに現在は暗号通貨のトレードとBot作成は一切しておらず、塩漬け状態です。)

■フォーム内容
■副業内容の詳細
副業と言うか社会勉強も兼ねて会社(合同会社の予定)作ってみたいんですけど、可能なんでしょうか?
副業内容としては趣味で作ってる暗号通貨のBotの作成とトレードを引き継ごうと思ってます。
 
■稼動について
業務時間外と土日祝の空いてる日
 
■期間
不明

設立

設立までに私がしたことをサラッと書いていきます。

本を買ってざっくり流れを把握した

会社を設立するまでに何をすればいいか全く知らないため、まず本を買いました。定款のサンプルも書いてありましたが、特に形態が決まってるわけでなく、必要なタイトルに必要な情報が書いてあるだけで良さそうです。ワードとかで作れますが種類が多いのでだるいです。

合同会社設立に関する本は本屋に行ったらたくさん置いてあったので、何冊か中身をパラパラ読んで自分に合いそうな本を選びました。実際に一通り読み終えてみて買ってよかったと思った本です。

図解 いちばんやさしく丁寧に書いたLLC(合同会社)設立・運営の本

図解 いちばんやさしく丁寧に書いたLLC(合同会社)設立・運営の本

定款を作成した

会社設立freeeを使って定款を作りました。フォームに記載するだけでええかんじに定款のPDFを吐き出してくれます。無料です。一時保存しまくりです。PDFも何度も作り直せます。これを使ったからといって会計freeeを強制されません。

はんこを作った

たしか1万円ほど。

私が会社を設立する準備をしている頃に決めいていた会社名は「合同会社えのき屋」でした。
印鑑/はんこ通販 会社設立印鑑なら【渋谷はんこ堂】で申し込んだときに、間違えて「合同会社えのき堂」で申し込み、気づいた翌朝にははんこが届いていたので、「合同会社えのき堂」で設立することにしました。

電子定款認証

  • ピンきり5000円
  • 会社設立freee利用の場合、会計freeeの年額プランを契約すれば電子定款認証の費用を無料にすることが出来ます

法務局に提出

6万円

その後の手続等は本に書いてあったり、ネットで調べれば出てくるので割愛します。

その後

お金に関わる話

合同会社えのき堂設立の際の出費

  • 本の購入費
  • はんこ3本セット
  • 収入印紙
  • 電子定款認証費
  • CD-R

会社の維持にかかる最低費用

  • 法人住民税の均等割7万円
  • 税理士に依頼するなら税理士との契約費用

銀行口座

銀行口座はいろいろ調べた結果、ゆうちょ銀行にしました。
口座の上限が1300万円なので上限が低いと思う法人もあるかもしれませんが、えのき堂では以下の3点にメリットに魅力を感じました。

  • 設立して間もない法人でも審査が通りやすい(らしい
    • 融資を行っていないみたいですが、えのき堂では融資を受ける予定が無いので気になりませんでした
  • 窓口が日本中にある
  • 口座維持手数料がかからない

唯一難点なのが、ゆうちょダイレクトで通帳記帳分と未記帳分が分かれていること。 そのため、freeeなどで残高を取得しようとしても正しく金額が取得できません。
正しく金額を取得するためには記帳しに行かないといけないため、少々億劫です。

個人ではネット銀行をメインに使っているので、別途ネット銀行に口座開設の申込みを出す予定です。

以下の記事に、銀行によるメリット・デメリットがまとまっているので参考にしてみてください。 www.freee.co.jp

クレジットカード

法人クレカは特に必須ではないけど、自分のクレカと明細を分けることができるので作っておくのがいいと思います。 freeeとかマネーフォワード使ってれば明細から自動で振り分けもしてくれるので結構手間を軽減出来ます。

以下の理由で選んだ。 - 年会費が安い割にはサービスが良さそう - iD(とQUICPay)がカードに付いている - 法人ではなく代表への審査で枠の上限は低いが、審査が通りやすいらしい - 提出物が個人でカード作るときと同じ

www.orico.co.jp

大きな枠が欲しい場合は会社の審査がされるカードを選びましょう。定款やらいろいろ提出する必要があると思いますが、支払能力が認められれば大きな枠がもらえます(1000万とか)。AMEXなら紹介できるので連絡くださいw

年金や社会保障を自分で満額払ってる気分になる

皆さんご存知と思いますが社会保障のうち、厚生年金・雇用保険・健康保険(と介護保険(40~64歳))は会社と従業員が折半して負担しています。一人会社だと会社の活動≒個人の活動なので、支出も個人の支出に感覚が近くなってくると思います。少なくとも私はそう思います。
自分で設立した法人から報酬を受け取る場合、受け取った報酬から厚生年金・健康保険(と介護保険)を、会社から厚生年金・健康保険(と介護保険)・労災保険を支払う必要があります。そこで仮に役員報酬を年120万円に設定し、毎月10万円を受け取る場合を想定して簡単にシミュレーションをしてみます。

厚生年金

厚生年金は月額の報酬のレンジによって等級が決まり、等級ごとに負担額が決まっています。
日本年金機構のWebサイトには厚生年金保険料額表が置いてあります。平成29年9月で厚生年金保険料率の引き上げが終了しましたが、またいつ引き上げが始まるかわからないので親ページへのリンクも貼っておきます。 厚生年金保険料額表|日本年金機構

今回は毎月10万円を受け取るという設定にしたので、等級2の17934円を会社と個人で負担することになります。

健康保険

健康保険も厚生年金と同様に月額の報酬のレンジによって等級が決まり、等級ごとに負担額が決まっています。
健康保険は多くの場合協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入することになると思います。こちらもWebサイトに健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京)が置いてあります。協会けんぽは県によって保険料率が違い、毎年改定されているようです。 都道府県毎の保険料額表 | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会 から各県の最新の保険料額表を取得することができます。

月の報酬が10万円だと等級は5となり、9702円を会社と個人で負担することになります。

ちなみに介護保険は健康保険から支払うため40歳~64歳の場合1538円多い11240円を会社と個人で負担することになります。

保険料合計
おまけ:雇用保険

役員報酬雇用保険の対象となりません。https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/h23/dl/koyou-05.pdf しかし、従業員を雇った場合、毎月支払う賃金に対して雇用保険を支払う必要があります。

保険料率は雇用保険厚生労働省のWebサイトにある雇用保険料率についてのPDFにかかれています。 雇用保険料率について |厚生労働省 こちらも改定される可能性があるのでWebサイトのリンクからPDFを選びましょう。

平成30年度は労働者が3/1000、事業主が6/1000です。月に10万円の給与を支払う場合、300円が給与から、600円が会社から支払われます。

おまけ:労災保険

えのき堂を設立して思うメリット・デメリット

雑に書いていきます。

メリット

社会人経験値が少しでも増える

これは個人的な感想ですが、会社がどうやって設立されて運営されているかを知らなかったので、稚拙ながらもいろいろ学ぶことが出来て経験値が増えたと実感しています。

本業と違う人達と関わることになると思うので、新しい人間関係から今まで知り得なかったことを知ることが出来ました。

お金は確かに必要になりますが、それ以上に行動しないと得られない知識や経験を得たと思っているので、会社を設立して後悔は無いです。

話のネタになる
  • 何か企んでる人から話しかけられる
  • 周りには会社設立前から公表しているので、たまに状況聞かれる
  • 自分からそのネタを話しに行ける
    • 人事承認を得ているので人事本部長の曽山さんに総会で雑に話してみたけど応援の言葉をもらったのと、その後も会うとどうなのよ的なことを聞いてくれるので会社的には問題ないんだなという実感
      • いろいろあるとは思いますが、個人的には副業やりやすいと思いっています

デメリット

手間が多い

会社設立するために書類をたくさん作ったり、法務局や年金事務所に行ったりといろいろと手間がかかります。
その手間を無くすためには、税理士事務所や行政書士事務所が行っている会社設立のサポートを利用するしかありません。 値段もピンきりですが、数万円程度から設立サポートを受けてくれるところがあります。

自社の確定申告を自分で起こっなっている人や税理士に任せている人の話を聞いて、えのき堂では確定申告は税理士事務所と契約して依頼しようと思っています。

節税効果は特に無い

会社の維持にかかる費用でも書きましたが、とにかく会社に関する出費があちらこちらで発生します。
ネットで調べたり知り合いの話から、本業とは別に1000万円ほどの収入がないと会社を作るメリットは無いそうです。
具体的な損益分岐点等の計算をしたわけではないので気になる方は計算してみてください。

ちなみにえのき堂の売上は今の所100万円未満です。完全に個人事業主で活動してたほうがお金に関しては得です。

役員が引っ越すときにも手間と金がかかる

代表取締役(合同会社の場合は代表社員)の氏名と住所は登記事項になっています。そのため、引っ越すときにはこの住所も適切に変更する必要があります。

  • 本店の移転がなければ1万円
  • 同一所轄内で本店の移転があれば3万円(例 渋谷区 -> 渋谷区)
  • 違う所轄に本店を移転する場合は計6万円(例 渋谷区 -> 千代田区)

今年の夏に私が渋谷区を出て千代田区に引っ越すタイミングでバーチャルオフィスを契約し、えのき堂の本店の所在地を変更しました。
本店の住所の履歴は国税庁法人番号公表サイトで見ることが可能です。

社会保障を2箇所から支払っていると、なにかあったときに手当が支払われない(らしい)

昔記事を見たんだけど、どこかわすれたので探す

会社を解散するときにもお金がかかる
  • 解散登記 3万円
  • 清算人選任登記 9000円
  • 清算結了登記 2000円
  • 官報掲載代 最低36489円ぽい

今後やりたいこと

アルバイトでも雇って他人に給料を払う体験をしてみたいです。(これは会社を作らなくてもできる話ではある) そのためにはえのき堂の稼働を上げたりスケールさせていく必要がありそうですが、今の所本業に集中したいと思っているのですぐには難しそうです。